原沙矢は、一人特急オホーツクにのり網走を目指していた。遠距離恋愛中の恋人が隣にいるはずだったが、急な仕事で来れなくなってしまったのだ。沙矢は途中にある金華駅で「常紋トンネル殉難者追悼碑」を、そして網走で出会ったある本により、北の大地にいきた女と男の人生を知ることになる。 大正三年。八重子は一人息子の太郎を知人にあずけ、遊郭「宝春楼」で働くために東京から網走へ向かっていた。本州と北海道を繋ぐ青函船の中で、一人の青年と出会う。この青年とはのちにも巡り会うが、そんなこととはお互い想像もせず、それぞれの行き先へ散っていく。 初見世も終わったある日、知人からの手紙を同じ遊郭の百代に読んでもらった八重子は、太郎が死んだことを知る。この日から八重子は変わる、何が何でもトップにたつのだと――。 青函船で八重子と出会った白尾麟太郎は、どういう運命の巡り合わせか、タコ部屋で働くことになる。それまでの裕福で満ち足りた生活とは一変し、生きのびることで精一杯だった。 八重子と麟太郎は過酷な運命にさらされながらも、己の生きる意味を見いだしていく。 そんな彼らの生き様を知った沙矢も、自分の生き方に一筋の光を見いだすのだった。 著者について 1979年北海道生まれ。大妻女子大学文学部日本文学科卒業。広告代理店勤務を経て、2008年第7回「女による女のためのR-18文学大賞」大賞を受賞。2010年、『自縄自縛の私』(受賞作「自縄自縛の二乗」を改題)を刊行しデビュー。この作品は2013年、竹中直人監督で映画かされた。その他の著書に『星とモノサシ』『人肌ショコラリキュール』『フィッターXの異常な愛情』など。 ※2017年2月現在のものです |
この商品の説明
著者/アーティスト
著者: 蛭田亜紗子
商品仕様
- アイテム名:書籍
- ページ数:301p
- 大きさ:19cm(B6)
- 出版社:講談社
- ISBN-10:4062204975
- ISBN-13:9784062204972
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