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ソウルフルな歌声とジャジーな音楽性で多くのファンを魅了してきたが、ポルトガル人女性歌手カルメン・ソウザ。本国で2017年に発表された前作『クレオロジー』で日本デビューを飾った彼女は、2020年にはファンキー・ジャズのパイオニアとして知られるホレス・シルヴァーへのトリビュート作『ザ・シルヴァー・メッセンジャーズ ～ ホレス・シルヴァーに捧ぐ』を発表し、何れもヴォーカル・ミュージック・ファンから高い支持を得ました。そんな彼女がコロナ禍を経験し、アーティストとしての心情の変化を綴った新作を発表してくれました。通算10枚目の作品となる本作では「過去2年間に世界で起きたこの喪失の経験は私の人生観と音楽を変えた」とカルメン自身が語っています。コロナ禍によってそれまでの価値観やモラルに疑問を投げかけ、それらすべてが不確かで脆弱であったことを顧みたカルメンとテオですが、それをネガティヴに捉えるのではなく、そのことを糧にしてより多くの実験的なことを本作の中で行い、前向きな精神でこの困難を乗り越えて行こうという姿勢が本作の至る箇所に滲み出ています。 (C)RS