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前作『アルトコロニーの定理』に次ぐ、2011年3月9日リリースの6thアルバム。チャート初登場1位を記録した人気曲「DADA」や「狭心症」「携帯電話」といったシングルを含む、全14曲を収録。ラッドの進化したサウンドを体感できる超絶作だ。

バンドが大きな変化を迎えた4枚目のアルバム。先行シングルから現れていたソングライター・野田洋次郎のジャーナリスティックな視線が、このアルバムにおける強烈なガソリンとなっている。各パートが殴り合い同然でハードなグルーヴを叩き出す(1)、世界中の紛争やデモの現場がネットで見れてしまう時代の痛覚を生々しく描き、PV、歌詞ともに問題作となった(6)、自己完結し続ける現代人を描いた(5)(8)など、ここには今、この時代の“なんか変”を表現しようともがく野田の姿がある。既存の音楽の中から好きな感覚を極端に強調し、そのいびつさが奇跡的にチャーミングでポップに結実していたこれまでのRADに比べ、本作は“この問題意識をどう音楽に起こすか?”という未知の表現に向かった作品といえる。そこに言葉やメロディ、アレンジが追いつき、一体化するにはもう少し時間がかかるだろうが、まずは、そんな足の立たない大海へとダイブした“志”を買いたい。 (齋藤奈緒子)