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近年の医療の進歩は著しく、消化器内科領域においても高度かつ専門的な診療が求められています。患者さんに最良の医療を提供するためには、最新で確かな技術と知識を用いて診断と治療を行うことが不可欠です。本誌は、消化器疾患の診断の要となる画像もフルカラーで美しく鮮明なまま多数掲載し、臨場感あふれる誌面を実現します。さらに第一線で活躍する医師や専門家による企画編集・執筆で、臨床に直結する今最も知りたい知識と情報を読者の皆さまに毎号お届けします。
目次
特集●食道疾患に対する最新の内視鏡診断と治療
企画編集/井上晴洋(昭和大学江東豊洲病院消化器センター センター長・教授)
<特集にあたって>
この30余年を振り返ってみて,食道疾患に対する内視鏡診断と治療の発展は著しい.私が研修医のころは,門脈圧亢進症と食道静脈瘤硬化療法が学会の主題セッションの花形であった.その後,内視鏡的硬化療法が確立され,またEVL(endoscopic variceal ligation)の登場により,内視鏡治療が一般的となり,従来の外科手術(食道離断術やShunt手術)はほとんど行われなくなった.
一方,食道がんの診断と治療においても大きな進歩があった.早期がんの概念が確立され,早期がんの拾い上げ診断もIEE(image enhanced endoscopy)の登場により容易となった.またIEEと拡大内視鏡が組み合わされることで,拡大内視鏡診断学も確立されていった.この食道扁平上皮がんに対する診断学は,咽頭病変の診断にも広がっていった.そして食道では扁平上皮癌から,Barrett食道がんの診断にも広がりをみせた.治療においては,早期がんは,内視鏡治療が当たり前となった.ここでEMR(endoscopic mucosal resection)の登場から,ESD(endoscopic submucosal dissection)の開発,保険収載の功績は大きい.ここでも従来の外科手術(食道癌根治術や食道抜去術)が,内視鏡治療へと置き換わった.
さて食道アカラシアの治療においては,従来はバルーン拡張術か,あるいは腹腔鏡下Heller-Dor法が標準であった.2008年にPOEM(per-oral endoscopic myotomy)の第1例が日本で行われた.その後,先進医療から,保険収載となり,POEMガイドラインも発表された.そして現在では,世界的にも標準治療となった.
このPOEMから派生したものに,POET(per-oral endoscopic tumor resection)がある.固有筋層由来の平滑筋腫などは従来は胸腔鏡下での外科的切除術が行われていたが,4cm未満であれば内視鏡での治療が可能となった.POEM中の筋層生検から,好酸球性食道“筋”炎の発見にも展開した.
GERD(gastroesophageal reflux disease)に対する最新の内視鏡的治療として,ESD-G(endoscopic submucosal dissection for GERD)とARMS/ARMA(antireflux mucosectomy/antireflux mucosal ablation)がある.いずれの治療法も人工潰瘍の瘢痕治癒過程を応用した治療法である.またGERDに対する簡便な内視鏡による診断法として,EPSIS(endoscopic pressure study integrated system)がある.CO2送気による負荷テストであり,食道および噴門の運動機能を評価する.
本特集では,「アカラシア関連」,「GERD関連」,「咽頭・食道がん関連」と3つの主題別に,専門家の先生方に執筆いただいた.このように内視鏡治療の進歩は,従来は外科手術として行われていた治療を,低侵襲治療へと導いている.最新の進歩についてのご理解が深まれば幸いである.
井上晴洋
昭和大学江東豊洲病院消化器センター センター長・教授
<目次>
1-1. 食道アカラシアの内視鏡診断/南 ひとみ,井上晴洋
1-2. 食道アカラシアに対する内視鏡治療 ―POEM,その全国集計およびガイドラインなどから―/塩飽洋生,岡田浩樹,林 貴臣,塩飽晃生,長谷川 傑
1-3. Submucosal endoscopy ―POET, POEM+F―/年森明子,井上晴洋
1-4. 好酸球性食道炎 ―疾患概念から治療の最前線―/佐藤裕樹,水野研一,橋本 哲,横山純二,本間 照,寺井崇二
2-1. GERDの診断 ―内視鏡と24時間pH-impedance―/星野慎太朗,川見典之,岩切勝彦
2-2. GERDに対する新しい内視鏡診断/島村勇人,井上晴洋
2-3. GERDに対する内視鏡治療 ―ESD-G(endoscopic submucosal dissection for GERD)を中心に―/太田和寛,竹内利寿
2-4. GERDに対する新しい内視鏡治療 ―ARMS/ARMA―/田邊万葉,井上晴洋
3-1. 咽頭表在癌に対する内視鏡診断/堅田親利,加納孝一,細野浩史,一戸昌明,山下 拓,田邉 聡,小泉和三郎
3-2. 咽頭表在癌に対する内視鏡治療の最先端/阿部清一郎,野中 哲,小田一郎,小林謙也,斎藤 豊
3-3. 食道表在癌の内視鏡診断 ―扁平上皮癌・Barrett腺癌―/郷田憲一
3-4. 食道表在癌に対する内視鏡治療/脇 幸太郎,石原 立